最近はずーっとトロント・ライブラリーで日本の本を借りて読んでいます。
ちょっと前に借りて読んだものを紹介。


桐野夏生 「ダーク」


ダーク
ダーク
クチコミを見る

 
「東京島」に続いて、桐野さんの著書をまた借りてきました。これは村野ミロシリーズというものだそうですね。
いきなりシリーズの途中の「ダーク」を読みましたが、それまでのストーリーがわかっていなくても結構すんなりはいっていけました。
 
でも、まあこれは「東京島」よりすごい。結構衝撃的です。
読んでいて途中、ちょっとやめようかと思いましたが、なんとか読破。
 
誰もがみないろんな問題を抱えていて、決していい人ではなく、だからってものすごい悪人と言う風にも捉えられず、そういう人間の灰色な部分を描き出すのがうまいです。
 
前回同様、きれい事だけ言っていたら人間は描けないのだよ、そんなのは人間ではないのだよ、と言われているかのよう。
 
読むのが辛いんだけれども、気になってしまうんですよね~。で、また今度は「玉蘭」を借りてきました。
まだ読み始めたばかりなので、感想はまたあとで。
 

美輪明宏 「愛の話 幸福の話」

愛の話 幸福の話
愛の話 幸福の話
クチコミを見る

 
以前紹介した阿川佐和子さんのインタビュー集のゲストにきていたのが、美輪さん。
そのときの発言がとても印象的だったのですが、そうしたら図書館で美輪さんの著書を発見。こういうちょっとしたつながりもなんだか嬉しくなります。
 
美輪さんの率直な言葉の詰まった一冊です。心に残る言葉がたくさんあって、胸にしみました。
恋愛について、人生について。
人間と言うものはいかにわがままに生きているのか。周りが見えなくなったり、相手にいろんなことを求めたり。
 
自分が日ごろから感じている思いとリンクするところもたくさんあったし、「あ、これは自分も直さないとな」と思うところもあって、何度も頷きながら読んでいました。
 
美輪さんの見かけでちょっと引いてしまう人も多いかもしれませんが、やっぱり自分の信念をしっかり持っている人の強さを感じます。
 
私は普段、こういう啓蒙的なエッセイとかはあまり好きではないんですが、これはやはり迫力がありました。
でも美輪さんの言葉を全部鵜呑みにする必要なんかなくて、これはちょっと違うかな?と思ったりしてもいいと思う。
きっと美輪さんもその辺、人に言われるがままではなく、ここから自分らしい答えを出すきっかけを見つけてよ、というんじゃないかと思うので。
 

井上ひさし 「箱根強羅ホテル」

箱根強羅ホテル
箱根強羅ホテル
クチコミを見る

 
また井上ひさしさんの作品です。これは舞台用に書かれた戯曲。
彼らしいユーモラスな中に真剣な思いを潜めたストーリーでよかったです。
とても楽しんで読みました。
 
戯曲なのですらすらっと読めます。
 
第二次世界大戦末期、箱根の元ホテルがソ連の駐日大使館の緊急疎開先になるんですが、そのために雇った人々が繰り広げるスパイ工作、という物語。
この物語は実際、「元首相で後にA級戦犯で処刑された広田弘毅が戦争末期、箱根の強羅ホテルで、和平の仲介をソ連に依頼するための会談を秘かに持っていたという事実」(http://www.nntt.jac.go.jp/season/s265/s265.htmlより)から作られたそうで、作中にも出てくる様々なユニーク(?)な戦略作戦も著者の創作ではなく、実際の計画であったとか・・・
 
ということで、本を読むだけでなく、そこから実在した広田弘毅のことなどを調べたり、どんどん好奇心が広がっていってしまいました。
 
井上ひさしさんは「むずかしいことをやさしく、やさしいことをふかく、ふかいことをおもしろく」と言うことをモットーにしていたそうですが、確かに!
 
どうしても堅苦しくなってしまう戦争の話もユーモラスにしてしまうあたり、やはりさすがです。
 
トロントの図書館には井上ひさしさんの著書は結構たくさんあって、前も一度読んだんですが、また「國語元年」を借りてきました。
 
 

藤井邦夫 「秋山久蔵御用控 花始末」

花始末―秋山久蔵御用控 (ベスト時代文庫)
花始末―秋山久蔵御用控 (ベスト時代文庫)
クチコミを見る

 
時代物。シリーズ化されているらしい、主人公の与力を中心にした捕物小説です。
個人的にはやはり池波正太郎さんの「鬼平シリーズ」が一番だと思っていますが、これもなかなか楽しめました。
 
でも普通与力といったら、あまり街を出歩いたりしなかったんじゃないかな~なんて思いますが・・・
 
岡っ引きやその下で働く人たちの活躍なんかも丁寧に描かれていたのもよかったです。
 

風野真知雄 「若さま同心 徳川竜之助 風鳴の剣」

風鳴の剣 (双葉文庫 か 29-2 若さま同心徳川竜之助)
風鳴の剣 (双葉文庫 か 29-2 若さま同心徳川竜之助)
クチコミを見る

 
これも時代物。今度は徳川家後を引く「若さま」がお屋敷生活から解放されて、庶民からはそれほどよく思われてもいなかった(?)見習い同心になって活躍する、というずいぶんはちゃめちゃな設定。
まあ、小説ですから。
 
で、もちろん、この若さま、剣の達人でもあるのですが、同心としてのお勤めと、剣の達人として、刺客と立ち合ったり忙しいのです。
 
これは面白くないわけではないんですが、どうも読み終わった後、消化不足な気分がぬぐえない。
というのは全体が小さなストーリーごとに分けられているのですが、そのたびに新しい事件が起こるんだけれど、一つ一つをきちんと解決していないんですよね。
それが意図なのかもしれないんですが、もうちょっとはっきりしていたほうが全体も引き締まると思うんだけれど・・・
 
でもこれもシリーズ化されているそうなので、人気なんですかね~?

もっと読んでいるんですが、それはまた次回に紹介します!