ということで、見てみました、「The Cove」。

the-cove_poster


http://thecove-2010.com/

和歌山県・太地町で行われているイルカ漁とそれを取り巻く水銀問題などを追ったドキュメンタリー。

今年のアカデミー賞長編ドキュメンタリー賞も受賞した、いわゆる「話題」作ですね。

まず最初に言いたいのは、「とりあえず見て、考えてほしい」ということ。

日本ではその公開に対して多くの批判があったりしたそうですが・・・

私も見るまでは、西洋人が日本をバッシングしているというイメージばかりだったんですが、見てから、いろいろ考えました。

ネットで日本人の感想を読むと、大体がこの作品に対して批判的なんですね。

一方的に隠し撮りはドキュメンタリーではない、とか食肉と一緒で捕鯨もイルカ漁も同じだ、というような意見。

日本のウィキでもかなり批判的、否定的。

私としては、その反応がちょっと違うんじゃないかな~と思いました。なんだかとても感情的になって作品を見て「だめ」と決め付けている感じがしてしまいました。

一般の日本人が見る前からそういう批判的な意識を植え付けているのはちょっと公平じゃないと、思ってしまいました。

もちろん日本人として、この映画を見るのは辛かったです。

作品の編集などにも凝っていて、うまく太地町の人々を悪者に仕立て、撮る側をいい人にしているのかもしれない。
それは私にはわからないところです。

でも見る側として、もっと中立の立場になってみてみたらいいのにな~、と言うのが感想。
どっちもどっちの言い分があるわけだし。

だからこのイルカ漁反対の立場の人の意見はこの作品で聞けたので、今度は日本側の意見が聞きたいな、と思いました。

実際、どうして太地町の人々があそこまでして漁を隠しているのか、撮影も拒んでいるのか、その辺がはっきりしないし、

そこにきちんと対応していないから、悪いことをしているように見えてしまうんだと思うんですよね。

確かに日本文化への安易な解釈も見られないわけではないんですが、でも私は撮った側の彼らが特に「日本」や「日本人」全体をバッシングしてるとか、
そういう風には感じなかったんですが、それはやはり私がカナダにいるからなのかな~?

例えば、実際自分があの場にいて、イルカ漁を見たらどう思うんだろう?やっぱりショックだと思うんですよ。
全体的にイルカはかわいくて、頭がよくて、というイメージができあがっているし。

でも肉を食べている自分たちも同じことをしているのも事実で、だから一方的に太地町の人々を責めることも出来ないとも思うし。

彼らにとってはそれが仕事で、仕事がなくなったら大変で、そのためにも今の仕事を続けたい、というのは、当たり前の考え方だと思うし。

ただ、問題はやっぱり水銀問題。まあ、この作品で言われていることがどこまで信用できうることなのかもわかりませんが、でも魚介類の水銀問題があることは事実。
その辺はやはり慎重になって考えないといけないですよね。

イルカを鯨肉として売っている、ということにしても、もともとイルカは小さい鯨だ、というけれど、一般的に私たちは鯨とイルカは同じものだとは思っていないでしょう?
それに私は鯨もイルカも食べたいとは思わないけどな・・・

とにかく、日本人として、見てほしい。見て、冷静に、考えてほしい。

見て、「これはおかしい!」と思ったら、調べて、この作品で描かれていることは正しくない、と反論する作品が出たりしたらいいんじゃないか、と私は思うんですよね。

これが西洋人が撮ったから、ここまで問題になってしまって、日本人が撮ったら、またずいぶん違った反応があったと思うんですよね。その辺も考えてほしい。

例えば犬を食べるほかの国の文化を、私たちだって聞くとギョッとするじゃないですか?そういうのと同じなんじゃないか、と思うんですよね。そこには両者の言い分があるわけで。

でも個人的にはどっちが正しいとか、どっちが悪いとかを決めるための作品ではないと思う。私はイルカ漁、反対ですが・・・

日本でもまだ見ることはできるみたいなので、まず自分で見て、どう感じるか、それがまずの第一歩だと思います。

それで、それぞれ自分の意見を発すればいいと思う。ただ批判するのではなくて、私はこう思う、と言う形で議論していくべきですよね・・・