2009年に出版され、ベストセラーとなった本です。

The Help
The Help
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今年、北米では映画にもなりました。
日本では「ヘルプ 心がつなぐストーリー」という題で来年公開のようです。

http://thehelpmovie.com/us/

日本ではまだ本も発売されていないのでしょうか?あまり情報がみつけられなかったのですが・・・

「1960年代の公民権運動を背景とし、ミシシッピ州ジャクソンに住む若い白人女性のスキーターと2人の黒人のメイドの関係を描く」とウィキには書かれていますが、スキーターという裕福な家庭に生まれたライター志望の女性が当たり前のように自分たちに仕える黒人メイドの女性たちが何を思っているのかに興味を持ち、リスクを覚悟でメイドたちにインタビューをして、本を出版させるというストーリーです。

もともと著者も子供時代、メイドに育てられて、特別な思い出があったようです。物語はフィクションですが、スキーターは彼女自身を、物語の主要人物であるメイドのアイビリーンと彼女が面倒を見る白人の女の子の関係は著者とメイドの思い出を反映させているみたいです。

公民権運動なんていうとどうしても暗く、重くなりがちですが、そんなことはなくて、全体的に光のある作品です。

当時のメイドたちの生活を描ききっていないと言う批評もあるようですが、著者が描きたかったのはそこではないだろうし、一番伝えたいメッセージはやっぱり肌の色ではなく、人と人として心を通わせることの大切さだと思う。

でもちょっと一方通行的な見方で描かれているのは確かですが、まあ学術論じゃないですからね。

アイビリーンとミニーという二人のメイドが素晴らしいキャラクターです。
物語はスキーターとアイビリーン、そしてミニーの3人の独白の形で進められるんですが、アイビリーンとミニーのチャプターは黒人英語を文字にしています。
それが差別的だ、と捕らえられてもいるようですが、私はそこにキャラクター性があってよかったと思ったんだけどな~。

なんにしろ、白人女性がこの本を書いた、というのは今の時代であってもやはりなかなか勇気のいることだったはず。
実際、書き上げるまで5年をかけ、出版するにもたくさんのエージェンシーに断られたそうです。
でも出版されたら500万部の売り上げ。すごいですね。

私は本を先に読んでから映画を見たかったので、まだ映画は見ていないんですが、映画の情報を見ると、スキーターがエマ・ストーン、メイドたちも思ったより若い人たちが演じていて、ちょっとイメージと違うなあ、と思ったんですが・・・

とにかく素晴らしい本なので、おすすめです!
北米に住んでいる方はぜひ!