ちょっと前の私の日記で、Tokyo FMのPodcastがいい、という話をしましたが、本当に面白いんです、これ!
この番組のパーソナリティーはピーター・バラカンさんなんですが、バラカンさんがおすすめしていたドキュメンタリー映画、Man on Wire、気になったので、借りて観ました。

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http://www.manonwire.com/

日本でも「マン・オン・ワイヤー」の邦題で公開され、DVDになっているようです。
http://www.espace-sarou.co.jp/manonwire/

マン・オン・ワイヤー スペシャル・エディション(DVD)
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1974年、アメリカ・NY。ワールド・トレード・センターのツインタワーにワイヤーを架け、綱渡りをした男、フィリップ・プティ。

そんな彼のツインタワーでの綱渡りを軸に、それまでの彼の綱渡りの人生を織り交ぜたドキュメンタリーで、当時の映像もたくさん使われています。

ドキュメンタリーとは思えない、上質な作品です。
全編通して、とてもアーティスティックで、音楽もいいし、これはラブストーリーであり、フィリップと彼を支える仲間との友情の物語でもあるんだな、と思いました。

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まだできたばかりのツインタワーの厳しい警備をかいくぐるため、作業員にばけてビル内部、作業用エレベーターに侵入、それからも数々の困難に直面しながらも、奇跡の綱渡りを実行させたんだから、すごいです!

彼の神技ともいえる綱渡りもすごいんですが、やっぱり面白かったのはフィリップとその仲間たちとのストーリー。

夢に向かってまっしぐらに突進していく、天真爛漫なフィリップ。
そんな彼にあたたかく寄り添うガールフレンドのアニー。
フィリップの昔からの友達で、ずっと彼の突撃綱渡りを助けてきたジャン・フランソワ。

一番面白かったのは、フィリップとジャン・フランソワがこの作品の中ではずいぶん正反対の性格のように見えたこと。

とにかく目の前の夢しか見えていないような、それだけで頭がいっぱいでどこか現実的なことを考えていないようなフィリップ(実際、どうやってワイヤーを渡すかとか、どうやって屋上までたどり着くかとか、そんなことばかりを心配していて、綱の上を歩くという行為自体のことは考えていなかった、というようなこ とをいっていたかと思います)だからか、まるでそんな彼の理性的な面を一気に背負った感じのジャン・フランソワとの対比が面白かった。

友の夢を一緒にかなえたいと思いながらも、でも冷静に落ちるかもしれないという危険性、違法行為をすることへの不安などを彼のほうがずっしり感じていたのかもな、というのを、30年以上経った今、話をしても、涙で言葉に詰まる彼の姿を見て感じました。

こんな無茶なことをする友達や恋人がいたらさぞかし大変だろうと思うんだけれど、大きな大きな夢に向かう彼らの姿が眩しいです。

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英語(これはたしかイギリス・BBCがスポンサーになって制作された作品だったと思います)のオリジナルを観ると、フランス語には英語の字幕がつくんですが、それ以外、フィリップやジャン・フランソワの英語でのコメントには字幕がつかないので、アクセントのある彼らの英語を聞き取るのがちょっと大変でした。

ドキュメンタリーを見慣れていない人でも十分楽しめる作品だと思います。ぜひおすすめです!